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さよなら原発★ちがさき

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市民の緩やかなネットワークです。原発について学び、正しい情報を得ることから始めます。

「原発は永久にこれを放棄する」

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 これは、です。

 書家は、石川九楊(きゅうよう)
 作品名は、「2001年9月11日晴─垂直線と水平線の
 物語(Ⅰ)上」
 
 あの「9・11」をテーマにした自作の詩を書に表した
 ものです。


 「垂直線」は空にそびえ立っていた世界貿易センター
 ビル。「水平線」は2機の飛行機が青空に残した航跡。
 キリスト教を背景とする市場原理主義と、イスラム
 原理主義との宗教対立をも象徴しているといいます。


 その石川九楊が、
 今度は、記憶にも生々しい「3・11」をテーマにした
 長編詩を書にする構想を練っているそうです。

 以下にご紹介するのは、その構想を、今春正月に
 文藝春秋の求めに応じて文章化したものです。

 




「お台場原発爆破事件──2011年3月11日」
石川九楊
(きゅうよう)(書家)


 2011年3月11日以降、何とも鬱陶しい日が続いている。地震と
津波のせいではない。福島原発の爆発によって、得体が知れず
手のつけられない放射能に怯える生活を強いられるようになった
からである。
 原発が問題である以上、今回の復旧・復興は関東大震災や神戸大
震災モデルでは実現できない。広島、長崎、沖縄、そして大都市が
焦土と化した先の敗戦と復興をこそ手本とすべきだろう。戦後、目
を瞠(みは)るほど急ピッチで復興した理由について、我々はあま
り深く考えてこなかったのではないか。その故(ゆえ)は、この国
の人々が心置きなく復興へと専念したからである。なぜそれが可能
になったか。「戦争は二度とごめんだ」という意識を明文化し、合
言葉としたからである。
曰く「政府の行為によって再び戦争の惨禍
が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存
することを宣言し…」。言うまでもなく日本国憲法前文である。
 (中略)今、耳にすると、「リンゴの唄」をはじめ戦後歌謡曲に
は、不思議に明るい響きがある。その明るさはこの国を生きる人々
の戦争からの解放感から生まれたものだろう。

 これに倣(なら)って今、
「原発は永久にこれを放棄する」
全世界に向けてはっきりと宣言することができれば、
青年、子ども達、
子をもつ親達は不安神経症を脱し、また、電力会社、経産省、研究
機関は不確実に不確実を積み上げる確信のもてない計画から解放さ
れ、共に希望をもって未来に踏み出すことができよう。除染、廃炉
技術開発も格段に進捗し、放射性廃棄物の完全処理も不可能でなく
なるかもしれない。既存の発電所の効率向上も、多彩な新エネルギ
ー開発も急進展しよう。そして、廃炉技術大国として全世界に貢献
できるだろう。

 ここまで書いてきて、「現実的ではない」「産業はどうする」と
いう呟きが聞こえてくる。

 だが、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦
権は、これを認めない」(憲法第九条)と、国家が国家として当然
に保有する(とされている)権利すら無謀にもかなぐり捨てたがゆ
えに、「戦争は二度とごめんだ」の合言葉が人々の胸に刻み込まれ、
復興に向けての最大の呪文となったのではないか。


 それでも「いやいや…」と首を横に振るなら、次の譬(たと)え
はどうだろう。

 福島原発は、東京に電気を送るためのものである。しかし事故は
予見され、東京では危険だから福島につくられた。そうである以上、
今回の事態は、お台場原発爆発事故、否、危険が予測されていたこ
とからすれば、「お台場原発爆発事件」に等しい。お台場を中心に
半径30㎞圏といえば、皇居、丸ノ内、霞ヶ関、永田町、新宿、渋谷、
ディズニーランドはもとより、横浜、府中、さいたま、千葉、房総
半島の袖ヶ浦、木更津辺りまで含まれる。これらの町々が「京(け
い)」を単位とする天文学的数字の放射能で汚染され、仕事と生活
を通して営々と築き上げたその文化と富を捨てて二千万人もの人々
が、難民となった(いったいどこへ移住する?)。今起きているの
はこの事態なのだ。
その慄然たる光景を想起してもなお、「いやい
や…」と嘯(うそぶ)くのだろうか。
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 そしていまひとつ、人々が復興へと専念しえた理由
は、極東軍事裁判によって、戦争犯罪人を明確化した
ことによる。むろん、米国家による広島・長崎への原爆
投下、都市部への無差別爆撃がいっさい裁かれなかっ
たのは不十分であり、杜撰(ずさん)な裁きでもあった。
その限界をもつとはいえ、責任を明らかにすることを
通じて、戦争推進者側にも、「戦争はこりごり」という
断念を植えつけたのである。
 これに倣い、政・財・官・学会を問わず、福島原発爆発
事件の犯罪人や原発推進者を具体的に特定、断罪し、
公職から追放し、その活動を制限すべきであろう。
逆に
その危険を指摘し、原発建設に抵抗して不利益を被っ
た人々については、すみやかに地位と名誉の恢復(か
いふく)をはかる必要がある。(後略)


《文藝春秋2012年1月号 日本はどこで間違えたか
─もう一つの日本は可能だったか─ 大アンケート
「低迷をまねいた分岐点はいつか。識者30人が歴史
を鋭く抉る」から一部引用》



   石川九楊については、こちらの記事
   ご参考になさってください。
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by nonukes-1104 | 2012-02-21 19:29 | 参考文献・映画等